【彼女はキレイだった】樋口と残酷な世界
その日、人類は思い出した。当て馬が辿る残酷な運命を…当て馬派が味わう屈辱を…。
7月某日、向井理シャッチョ(着飾る恋)のトルコ左遷を受け落ち込んでいた当て馬愛好会に朗報が舞い込んだ。なんと関テレ枠に韓国ドラマ原作の素晴らしい当て馬が現れたのだと言う。
韓国ドラマといえばカン・シヌ(美男ですね)やチャン・グンス(梨泰院クラス)などを輩出した名当て馬の宝庫。当然期待度はめちゃくちゃ高く、ハードルを超えるのは難しい。だが、その当て馬…"樋口拓也"はいとも簡単にウォール・アテウマ(当て馬に対する期待度の壁)を破壊し、俺たちの心のシガンシナ区に侵入して来たのであった…。
関テレ制作ドラマ『彼女はキレイだった』。原作はパク・ソジュン主演の同タイトル韓国ドラマ。
あらすじ
子どもの頃は人気者の美少女だった佐藤愛(小芝風花)は冴えないフリーターになってしまった今の自分に自信を失っていた。そんな彼女の元に初恋の相手・長谷部宗介から「久しぶりに会いたい」とメールが届く。再会を楽しみにしていた愛だったが、待ち合わせ場所に現れた宗介は昔の面影(気弱で太っちょないじめられっ子)など皆無なスーパーイケメン(中島健人)に成長していた。幻滅されたくなかった愛は、代役として美人な親友・梨沙(佐久間由衣)を宗介の元へ向かわせる。愛は梨沙を通じて「明日からイギリスに留学する」という嘘をつき、美しい思い出を壊さないよう宗介とは二度と会わないと決意する。それからしばらくして、ファッション誌の編集部で働くことになった愛。しかし、そこには副編集長として君臨する宗介が…!!
樋口は主人公に色々教えたり元気付けたりするイケメン先輩編集者ポジション。演じるのは国内外に大量のファンを抱える人気俳優・赤楚衛二。流され受け平凡会社員(出世作チェリまほでの役柄)のイメージを払拭し、明るく軽めな元気系茶髪爽やかイケメン先輩を見事に演じきっている。
主人公に「ジャクソン」という謎のあだ名をつけて可愛がり、主人公(愛)とその親友(梨沙)と副編集長(宗介)の関係性をいち早く把握し、時に主人公の愚痴を聞き、時に主人公を励まし、時に恋敵を煽り、時に告白をスルーされ(不憫)、物語中盤でイメチェンしてかわいくなった主人公に対して「前のくるくるも好きだったな〜」的なことを言う。「見かけじゃなくて心を抱いて」を体現する最高最強のMonster当て馬、それが樋口という男である。
樋口ならきっと生まれ変わってもまた佐藤愛を探してくれる、なんなら前前前世から探し続けてくれる、100年先も愛を誓うどころか1万年の愛を叫んで俺たちの佐藤愛を幸せにしてくれる。そう思っていた…7話が放送されるまでは。
大雨の中、ボヤ騒ぎに巻き込まれた佐藤愛の元に走る樋口と副編集長。到着が遅れたせいで愛にハグする副編集長を目撃してしまった樋口は、雨の中で傘もささずに立ち尽くすしかなくなる(可哀想)。そして愛も副編集長と梨沙の密会(?)を目撃してショックを受け、2人を避けるようになる。夢ならばどれほど良かったでしょう。
その翌日、副編集長から逃げるための言い訳に使われて喜んだり、副編集長と梨沙のことを相談されたり、「ジャクソンが幸せになってくれたらなんでもいいんだけどさ」と言ったり、「その気がないなら無駄にドキドキさせんなよ」「俺、ジャクソンにとって最高の友達を目指す」と言ったり……と当て馬ポイントを積み上げていく樋口。ソロポイントは8000を余裕で超え、もうとっくにマスタークラスのA級当て馬である。
更に、自分の体調が悪い中、梨沙に「佐藤愛は君と副編集長が会ってることに気づいてる。君が話してくれるのを待ってるよ。」と伝えるなど、まさに"ジャクソンにとって最高の友達"を体現するような行動を起こす。
いくらなんでも良い奴すぎる。もう少しずるく生きても良いのに。だから当て馬なんだよ。でもそういうとこ好き。
その後、副編集長との恋愛イベントとか仕事での成功とか色々なことが起こるが、樋口の恋模様とはあまり関係がないので割愛する。本編を見てくれ。
そして問題の7話終盤。樋口が熱でふらついた拍子に階段で足を滑らせて頭を打ったこと、その原因がボヤ現場に自分を迎えに行って雨に濡れたことだと知った愛は、樋口の元に向かう。そんな愛に対して樋口は……
「悪いことしたな〜って思ってる?いいね〜〜!もっとどんどん俺のこと気にかけてよ。」
「いつも思ってたからさ。何かの間違いでジャクソンこっち向いてくれないかな〜って。」
「3つ目のお願い聞いて?今からすること許せ。」
「やっぱ友達なんて無理だ。俺にもチャンスくれないか?俺たちなら…絶対楽しい。」
し、進撃の樋口だ!!!!!!!!!!!ついにやってきたぞ樋口のターン!!!!!いけ樋口!!!!頑張れ樋口!!!!ジャクソンの心のウォール・マリアを破壊して本命になるんだ!!!!!…………と視聴者が盛り上がる中、愛のスマホに着信が入る。このタイミングで着信…?待て、もしかしてこれは…やめろ…やめてくれ…そんな…まさか…そんなことがあって言いはずが無…
なんてこった。
副編集長「どういうつもりだ?佐藤愛!この16年間…君にどれだけ会いたかったか!!」
愛「……宗介……?」
副編集長「今どこにいる?」
ようやく愛の正体(初恋の相手であること)に気がついた副編集長からの電話。心揺れる愛。焦る樋口。
樋口「行くな…!」
愛「………ごめんなさい。」
このタイミングで流れるんじゃねぇよハイドレンジア!!!!!!なにがアジサイだ!!!!こっちの頭の中では紅蓮の弓矢が流れてんだよ!!!!!踏まれた花の名前も知らずに地に墜ちた鳥は風を待ち侘びるんだよ!!!このSexy Zoneめ……めちゃくちゃ名曲だな!!!!シングル買ってやろうか!!!!
樋口はこれまで散々善人ムーブを重ねて徳を積んで来たんだぞ!!!そんな男がやっと伝えられた本心と決めた覚悟と最初で最後のワガママくらい全うさせてやってくれよ!!!!
しかも次回予告の樋口、なんか職場辞めてたっぽいよ??いくらなんでも慈悲がなさすぎる!!!樋口は雅志か??雅志なのか??(雅志とは→2019年のドラマ『初めて恋をした日に読む話』に登場する伝説の当て馬。最終的にロシアに飛ばされる。)
樋口は本当…前世で何したんだ…???村を焼いたり、巨人の力でパラディ島を侵略したり、キメラアントの王としてNGLで大暴れしたり、呪詛師になって呪力のない猿共を殺したりしたのか…!?だとしても現世の樋口には何の罪もないだろうが…!!樋口を救ってくれる存在…誰か…誰かいないのか…?
そうだ。町田啓太を連れてこよう。
10月スタートの新木曜劇場『SUPER RICH』での町田啓太との再共演、とても楽しみですね!!赤楚衛二先生の次回作にご期待ください!!!