あずきごはんの日記

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【鬼滅の刃】日本一慈しい継承の物語だった

国民的大ヒット漫画『鬼滅の刃』の最終巻がついに発売された。

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私が鬼滅の刃に初めて触れたのは土曜プレミアムで兄妹の絆編が放送された時のこと。2020年10月。そう、めちゃくちゃ最近!!!!連載が終わってからの履修!!!クソ遅い!!!!兄妹の絆編の翌週に那田蜘蛛山編を観た後、「え、私はなんでこんな面白い作品をスルーしてたの…???今からアニメ全部見る…映画も行くし原作も買う…」と一念発起。3日ほどでアニメ・映画・原作(22巻まで)・公式ファンブックの履修が完了しました。その後、最終巻が出るまでのたかだか1ヶ月ちょっとの待ち期間を死に物狂いで耐え、来たる2020年12月4日、電子版の配信開始後すぐに最終巻を読み始めました。その日は朝から仕事でしたがそんなことは気にしません。あの瞬間は仕事より鬼滅の方が優先順位が高かったので(仕事にはちゃんと行きました!えらい!)

 

結論から言うと……

まじ最高。ありがとう吾峠先生ありがとう少年ジャンプありがとうufotableありがとうフジテレビありがとう日本。

……って感じでした。最高だった。

 

これ以降はネタバレ満載で感想を書き連ねていきます。原作23巻を未読の方は今すぐ引き返して電子書籍ストアか本屋さんに駆け込んでください。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目次

 

①"繋ぐ"最終決戦

お館様の自爆と珠世様の毒から始まって、ずっっとみんなで小さな抵抗を繋げ続けた無惨戦。最終巻では炭治郎・伊之助・善逸が中心となって戦っていたので、こっちはずっと「が、がんばれ〜〜〜〜!!!!(キンブレを振りながら)」って感じだった。プリキュア映画でミラクルライトを振る幼女の気持ちを追体験した。

 

印象に残る場面はたくさんあるけど、特に伊之助の『足も手も命も全部返せ。それができないなら100万回死んで償え!!』が涙腺を爆撃してきました。

自然の中で生きてきて、鬼殺隊に入る前から死が身近にあった伊之助は「死んだものは生き返らない」という残酷な事実を何度も理解させられてきたはず。無限列車編で炭治郎と善逸に『信じると言われたならそれに応えること以外考えんじゃねぇ!!死んだ生き物は土に還るだけなんだよ!べそべそしたって戻ってきやしねぇんだよ!悔しくても泣くんじゃねえ!』と喝を入れる姿が印象的だった。そんな伊之助の「全部返せ」という心からの叫び……もう涙しかでねぇよ……。

 

痛くても怖くても気絶せず、むしろ伊之助や炭治郎を鼓舞しながら戦う善逸の成長っぷりにも目頭が熱くなりました。きっとじいちゃんも見てるよ!!!!

 

あと物理的に無惨様の腕をぶち切る蜜璃ちゃんな!!!!!強すぎる!!!!!大好き!!!!!

 

②ビッグベイビー・鬼舞辻無惨

比喩でもなんでもなく、無惨様がビッグなベイビーになりました!!!結構な衝撃画像なのでコミックスで確認してね!!!

 

まあでも無惨様って割とずっとビッグベイビーでしたよね。

同じ鬼でも猗窩座や黒死牟は多少なりとも生き様や闘い方にこだわりを持っていて、生き恥を晒すことに迷いがあった。猗窩座なんて自分の手で醜い自分にとどめを刺した訳だし。

でも無惨様にはそれが全くない。恥を恥とも思わず、逃げることにも醜態を晒すことにも躊躇いがない。とにかく「自分が快適に生きる」こと以外にこだわりや信念はない。完全にワガママな子ども。

 

"イヤイヤ期の子どもは小さい無惨様"みたいなツイートがバズってたけど、改めて振り返ると無惨様ってまじで精神年齢2歳だな!!自分の命を救う医者も戦力となる部下も気に入らなければ殺す!!なんなら機嫌悪かったら殺す!!『黙れ 何も違わない 私は何も間違えない 全ての決定権は私に有り 私の言うことは絶対である お前に拒否する権利はない 私が”正しい”と言った事が”正しい”のだ』

……巨大な力を持ったベイビーってこわい!!!!

 

③おばみつしんどい

おばみつ(伊黒小芭内と甘露寺蜜璃)がしんどい。もう、しんどい。無理。

「数少ない公式CPだし大事にしようね!!」って言ったじゃん!!!!!!なんなの?????私は平和な世界で幸せにイチャイチャするおばみつしか見たくないよ????

 

いやでも待て、あれは本当にメリーバッドエンドなのか????

自分の出自を呪い、女性に恐怖と嫌悪を抱いていた伊黒さんは"普通の女の子"な蜜璃ちゃんに救われて恋に落ちて、彼女の前では"普通の青年"でいられた。そして"普通じゃない"ことにコンプレックスを感じて自分を押し殺していた蜜璃ちゃんは、"優しい目で見てくれる"伊黒さんと楽しい時を過ごして「君が"普通の女の子"だったから俺もみんなも救われた」という言葉をもらった。

推しが多くて惚れっぽい蜜璃ちゃんが伊黒さんだけに『お嫁さんにしてくれる?』という言葉を贈り、『一度死んでから汚い血が流れる肉体ごと取替えなければ、君の傍にいることすら憚られる』と考えていた伊黒さんが"伊黒小芭内"のまま気持ちを伝えられた。

 

これは、正真正銘のハッピーエンドじゃないですかね……確かに婚姻関係を持って共に人生を歩むことはできなかったけど、お互いの精神が救われて気持ちで繋がれたんだからもうハッピーエンドだろうが!!!!!おばみつは幸せ!!!!尊い!!!!解散!!!!!!

 

”鬼の王”は頑張りすぎた長男への労わり

人間達の"想いの継承"に感動して、最期に炭治郎を鬼化させた無惨様、"兄妹の絆"に感動して禰豆子ちゃん妹化作戦を決行した累と同じ思考回路!!!!だから累のこと気に入ってたんだね!!!

最初は「俺たちの長男様がベイビーちゃん程度にどうこうされると思ってんのか??」とナメてたけど、日光あるから愈史郎が動けないし、冨岡さんテンパってるし、風柱寝てるし、みんなボロボロで戦えないし、鬼の炭治郎めっちゃ強いし……って感じで不測の事態にワニワニパニック!!起きて戦え風柱!!や、やばくね…???死ぬとしたら誰だ…?冨岡さんか……?などと真剣に焦ってしまった。

 

『誰かが道を踏み外しそうになったら皆で止めよう』というかまぼこ隊の約束を守ろうとするものの、炭治郎との思い出がぶっ刺さって首を切れない伊之助…『あんなに優しかったのに!!元の炭治郎に戻れよ!!』と涙を流す伊之助…伊之助推しの私が色んな意味で死にそうになるなか、苦しむ長男を助けたのは禰豆子ちゃんと亡くなった仲間達でした。

 

『どうしていつもお兄ちゃんばっかり苦しい目にあうのかなぁ どうして一生懸命生きてる優しい人達が いつもいつも踏みつけにされるのかなぁ』

本当それだよ禰豆子ちゃん……炭治郎は真面目に努力して頑張って生きてきただけなのに…。家族を失って、言葉と自我を失ってしまった妹を背負ってボロボロになるまで努力して戦って、その過程でたくさんの仲間を失って、彼らの死も背負って…それでも周りを照らしながら頑張り続けた炭治郎。大人の読者は「炭治郎はまだ子どもなのに頑張りすぎ」「そんなに何もかも背負わなくてもいいのに」と一度は思ったことがあると思う。

これは頑張りすぎた優しい人が限界を超えてしまった時のことを描いているんだろうなと思った。炭治郎を"とにかく頑張る強い長男"で終わらせるのではなく、炭治郎に守られてきた禰豆子が今度は彼を信じて支え、彼がずっと背負ってきた"仲間の死"という重りも生きる力に変わっていった。敵が消えた後にそんな展開を入れる鬼滅の刃、本当に信頼できるな……。

 

⑤生き残った柱について

こんなこと言ってたけど、不死川実弥はまぁ生き残ると思ってた!!!私的・生き残りそうな戦闘キャラランキングで3位だった!!!(1位と2位は善逸と伊之助)

少年漫画の定番的には"弟を庇って死ぬルート"が約束されてたようなキャラだったし、恐らく彼もそれを望んでたと思う。でもそこから外れて"弟が自分を庇って死ぬ"という地獄に来てしまった訳ですよ。しかも自分とのコミュニケーション不全が原因の1つ。もっとしっかり話ができていたら、もう少し早く本音を伝えられていたら、玄弥はあそこまで危険な戦い方をしなかったかもしれない。

だから実弥はもう生きるしかないんですよ。玄弥のために。傷ついても傷ついても立ち上がるしかないし、失っても失っても生きていくしかない(不死川実弥のうた??)

許されるように生きろって感じですね(中堂さん??)

 

冨岡さんは炭治郎を守って命を落とす可能性が2割くらいあるかもと思ってた。

彼は錆兎やお姉さんの死の上に生きてきたことに負い目を感じてたから、"炭治郎を守って命を失う"という行為が"救い"に成り得た。「貴方達(錆兎と姉)が守ってくれた命を使って、大切な人(炭治郎)を救うことができた」と思えるから。禰豆子に自分の命をかけた柱合会議や、猗窩座戦の『炭治郎を殺したければ まず俺を倒せ(=殺せ)!』に象徴されるように、冨岡さんって"大切な人のため"という条件がつくと自分の生殺与奪権を重要視しなくなるよね……なんか危なっかしいな!!自己犠牲ヒロインか??

でも生き残ってくれて本当に良かった……"守られてばかり"の冨岡さんはそれだけ多くの人の中で"生きていてほしい人"なんだからさ。

 

それにしても幸せな未来しかないおばみつを来世送りにして、"自分の命に代えても守りたかった存在が自分を守って死んだ"生き地獄にいる風柱を生き残らせる鬼滅の刃ナチュラルに残酷で最高ですね(血涙)

 

⑥珠世様としのぶさん

最後の最後まで毒使い美女の2人が優勝でしたね……!!!

男の柱達より身体能力や体格が劣ることで悔しい思いをしてきたしのぶさん。「子どもが大人になるのを見届けたい」という母親としての願いを悪用されて鬼になってしまった珠世様。現代社会の女性にも通じる苦悩や葛藤を抱えている2人が、姿が見えなくなってからも毒で仲間を守り続ける様はとてもかっこよかった。

 

そして立場の違う毒使い2人の交わりは、彼女達の心も救っていたことが判明する。鬼への嫌悪感を拭えなかったしのぶさんは、珠世様という尊敬できる鬼を見つけたことで、姉から継いだ"鬼と仲良くする夢"を実現させることができた。禰豆子(鬼の状態)に人間だと認識された時に涙を流していた珠世様は、人間であるしのぶさんの中でも"人"になることができた。毒使いの出会いに乾杯!!!!

 

⑦鬼滅らしい最終回

私は鬼滅の刃を"日本一慈しい継承の物語"だと思っている。1人の超人が偉大なことをするのではなく、想いを託して繋いでたくさんの人の力で目的を達成する物語。だからこそ最終回で"炭治郎達が想いを託して繋げた未来"が見られてとても嬉しかったし、鬼殺隊のみんなが繋いだ存在(ひ孫世代)が彼らの話を語り継いでいるのがとても鬼滅の刃らしいと思った。

 

それにしても、ひ孫から『あんな怖がりなひいじいちゃんが一緒に戦ってるわけないでしょうが!』と言われる善逸!!!さてはちゃっかり長生きしてひ孫にまで恥をさらしたな???天涯孤独に生きてた善逸が家族に囲まれて長生きする未来!!!ありがとう!!!!

一族から無惨様を出した報いで短命だった産屋敷家から出た日本最高齢記録保持者、炭治郎のDNAを確実に受け継いだ初恋ドロボウ、ただの我妻善逸、定食屋さんのご夫婦、スイミングスクール通いの冨岡くん(小学生)、何年経とうがめっちゃ愈史郎な愈史郎など好きな小ネタはたくさんあったけど、「うまい!!うまい!!」と聞こえてきそうなあの子が優勝でした!!!わっしょい!!!!

 

みんなの魂が受け継がれていた最終回だったけれど、愈史郎以外の鬼は珠世様含め誰も出てきておらず、彼らの魂が幸せに過ごせているのかは分からない。今作は「鬼(取り返しのつかない悪行を働いた者)は許されるのか、幸せになれるのか」という問いに答えを出していない。この"答えを出さないという答え"には今作の誠実さが滲み出ていると思う。

そして、炭彦(炭治郎の子孫)のモノローグで『鬼も今度生まれてくる時は鬼にならずにいられたらいいな (中略)いつかきっと神さまは鬼を許してくれるよね』と語り、現実的で誠実な答えに"慈しさ"を付け加えている。この最終回を読んだ時「このリアルで慈しい物語が大好きだなぁ」と改めて思いました。

伊之助の子孫の"青い彼岸花(無惨様が探してたやつ)を枯らした"というお茶目なやらかしで"もう鬼は生まれない"ということをさらっと示唆するのもおしゃれで良き。

 

それにしても最終回で公式CPめちゃくちゃ増えたな??炭治郎とカナヲは初期からフラグ立ってたけど、伊之助とアオイは割と唐突やし(2人ともかわいいから即席でも尊い)、タンポポからガチ夫になれた善逸すごいね???(鬼時代の禰豆子ちゃんは善逸を"珍妙なタンポポ"と認識していた)

私は"伊之助ちゃんは猪頭あってこそなので緊急時以外は被っといて"派だけど、アオイちゃんからご飯もらった時の素面伊之助ちゃんはこれまでで一番かわいかったです……幸せになって伊之助ちゃん……。

さらっと冨岡さんの子孫も登場してたけど、あの人結婚とかできるんですね??(クソ失礼)"冨岡くん係"ことしのぶさんと死別してどうなるかと思ったけど、幸せな結婚生活を送れてたら良いな冨岡さん…。

 

 

鬼滅の刃は"国民的大ヒット作品"ではあるけれど、"国民全員が好きな作品"ではない。もちろん人によって合う合わないはあるし、粗や隙や危うさもある。それでも私はこの作品が大好きだし、これからも応援し続けていこうと思います。明日また無限列車(3回目)に乗ろっかな!!!待ってて煉獄さん!!!!