あずきごはんの日記

ドラマや映画の感想、推しへの愛を叫ぶブログです。

【映画・ラストレター】痛くてキモくてロマンチックで美しい恋愛物語

映画「ラストレター」を観ました!!!!

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花とアリス」「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」「Love Letter」などの岩井俊二が脚本・監督を担当。

松たか子広瀬すず・森七菜・神木隆之介福山雅治・豊川悦二・中山美穂などが出演した超豪華作品。

 

まず最初に出てきた感想がこちら。

福山雅治神木隆之介

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いや、あの、映画観てもらったら分かると思うんですけど、この福山さんめっちゃ神木くんなんですよ。

福山雅治神木隆之介は同じ役を演じてて、現代(本役)が福山さん、学生時代(回想)が神木くん。普通なら回想の神木くんが本役の福山さんに合わせて演技すると思うんですけど、今作では福山さんが神木くんに寄せてる感じがする。福山雅治感が皆無。

 

福山雅治神木隆之介が演じる乙坂鏡史郎は売れない小説家。高校時代のマドンナ遠野未咲(広瀬すず)に初恋を拗らせてます。

 

その拗らせ方がこちら(※できるだけネタバレしないように書いてます)

高校時代の鏡史郎

・未咲宛のラブレターを妹の裕里(部活の後輩)に託し、返事が来なくても何度も書き続ける

・ある意味天沢聖司な行動もする

 

現代(43歳)の鏡史郎

・未咲への未練タラタラっぷりが半端ない(詳しくは映画観てください。まじでタラッタラ)

・相手が既婚者子持ちと分かりながらも「25年間ずっと君に恋してる」とか送ってくる

 

他にも色々あるけど、核心をつくネタバレになりそうなのでこのくらいにしときます。

この時点で察してくださる方もいると思うのですが…乙坂鏡史郎、キモいです。

 

いや、完全に主観なんですけど、顔が福山雅治じゃなかったら結構ドン引き案件だと思います。なんなら顔が福山雅治でもギリアウト。

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映画本編ではキモくて一途な福山雅治を全身で浴びる感じになります。気になる方はぜひ劇場へ!!!

 

福山雅治ってどちらかというと「モテモテオラオライケイケ」みたいなイメージが強くて、なんでこの役がハマったのかな…と不思議に思ってました。でも、「神木くんが初恋引きずったまま大人になった姿」を演じてると思うと大納得なんですよね…。

 

言うまでもなく、神木くんはキモいと一途かわいいの境目を演じるのが上手い役者。

11人もいる!」真田一男、「TOO YOUNG TOO DIE!」関大介、「刑事ゆがみ」羽生虎夫、「屍人荘の殺人」葉村譲など、童て…無菌臭漂ってて若干行動がキモいけど神木くんだから可愛いみたいな役が多い。

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今回の乙坂鏡史郎も例にもれず、一目惚れした遠野未咲(学校のマドンナ)に一方的にラブレターを書き続けて妹に託し、返事が来ずともそれをやめない痛めの高校生。神木隆之介の専売特許とも言える役所。

 

福山雅治神木隆之介のこれまでの演技も参考にしながら役作りをしたんじゃないかな…と思いました。完全に想像ですけどね!!

 

 

そして映画全体を通して思ったのがこちら。

私、もしかして森七菜だった…?

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あ、ごめんなさい調子乗ってるわけじゃないんです!!!学生時代の裕里(森七菜)の行動パターンにめちゃくちゃ既視感があっただけで!!!色んなものを抉られました…。

 

裕里は鏡史郎のことが好きだったけど、鏡史郎は自分の姉である未咲のことが好き。実らないことが分かりきっている恋愛に足を踏み入れることになります。

 

そんな裕里がとる「好きな人の協力者的な顔をする」「○○のどこが好きなんですか?とか聞く」「どうにか距離を詰めようとして空回る」「好きってことを態度に出せないのに、勘付いて欲しいとか思っちゃう」みたいな行動、身に覚えがありすぎて…森七菜だから可愛いけど、自分も似たようなことやってたなぁと思うと…。

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思い出したくないよね。

鏡史郎の反応にも現実味しかなくてしんどかった…。

 

しかも、裕里は大人になって演者が松たか子に変わってからも、明らかに鏡史郎を意識して空回ってるんですよね…その辺も「分かるなぁ…」って感じでしんどい。「返事はいらない」って保険をかけて、一方的に手紙を送り続けちゃう感じも分かる…けど側から見ると魂胆がバレバレだし痛々しい。

 

「ラストレター」は男女両方(しかも中年)から恋愛の痛々しさを描いてるのがすごく好きだし、そこが売りだと思ってる。

演者が福山雅治松たか子だから緩和されてるけど、鏡史郎も裕里も客観的に見れば痛いしキモい。でも恋愛って人を痛くキモい生き物にさせるものだと思う。

その痛さやキモさを描きつつも、ロマンチックで美しい作品に仕上げちゃう岩井俊二って本当にすごい。

 

そして、一億総スマホ時代に「手紙」がテーマになっているのも、作品の痛々しさと美しさを強調していると思う。

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↑映画館での私

 

手紙は宛名を書かなければ誰が送ったかわからないし、自分の素性に嘘をつくことができる。相手からの返事が返ってこない場合は「届かなかったのかな」と自己防衛することもできる。

わざわざ便箋を用意して自分の手で文字を書いて投函しなければならないという意味ではハードルが高いけど、一方的に思いを告げたい場合には一番選びやすい手段なのかもしれない。だからこそ今もラブレターやファンレターの文化が残ってるんだろうし。

 

そんな一方的&ノスタルジーな手段である手紙を活用することで、裕里と鏡史郎の性格を示しつつ、美しい作品に仕上げている。

痛いけど美しくて、恥ずかしいけどずっと観ていたいような不思議な映画でした。

 

そして、広瀬すず演じる遠野未咲(学生時代)の魅力がハンパない。

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この広瀬すずに人生を捧げたい。

広瀬すず岩井俊二作品にハマりそうって前から思ってたし、予告の時点で期待しかしてなかったけど、想像以上の魅力爆発っぷり。

こっちも神木くんと全く同じ瞬間に広瀬すずに惚れたし、手紙を書きたくなった。

 

劇場アニメ版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の声優は賛否両論でしたが、実写広瀬すず岩井俊二作品へのハマりっぷりは異常。

一億総広瀬すずファンになれる映画なので、広瀬すず目当てに観に行くのも良いと思います。

 

P.S.

岩井俊二名物(私が言ってるだけ)の「リアリティ溢れるクソガキども」も健在でした。

岩井俊二って日本で一番、男子小学生特有のウザさを描くのが上手い人だと思います。

 

あと、森七菜(岸辺野颯香の時)のリアル中学生女子感もすごかった。

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「俺の話は長い」で中学生をやってた清原果耶と同い年ということで…恐ろしく才能溢れる世代が猛威を振るう時代になりましたね…。